福岡県柳川市でコケを使った盆栽や小品を製作、販売している「はなおと 柳川」の阪本協会員から、アラハシラガゴケ、ホソバオキナゴケ(総称してヤマゴケ)の扱い方を知りたいと問い合わせがありました。
ヤマゴケの栽培方法について特別に研究はしたことはありませんが、苔神の経験を紹介します。
まず、ヤマゴケの自生環境ですが、杉林の林道を歩いていると、杉の大木の根元に生えているヤマゴケは誰でも一度は見たことがあるでしょう。杉の大木の根元は雨が当たりにくいため、乾燥している場所のように考えますが、案外そうではないようです。大きな樹木は根から大量に水を吸い上げ、葉から水蒸気を放出しています。そのため、樹林地帯は水蒸気が大量に供給される環境にあります。
新潟の海岸地帯には松林が広がっています。砂丘地の松林にもヤマゴケが自生しています。砂地で乾燥しているように見えますが、松林の砂丘地は地下水が豊かで、案外、地面から放出される水蒸気が多いのです。つまり、ヤマゴケも水分供給の豊富な場所を自生地に選んでいるようです。
杉林のヤマゴケは開けた明るい林道沿いに自生しています。砂丘地帯の松林も、ご覧のようにかなり明るい場所です。照度計で測ると、10000ルクス以上あります。林の奥まった暗い場所には、あまり見かけません。
こうした観察から、苔神はヤマゴケの栽培は明るくて水分の多い環境を選んでいます。
とは言え、直射日光が長時間当たるような場所はさすがに乾燥が激しいので、生育は難しいようです。
ヤマゴケの栽培はそれほど難しくはありませんが、ただ、時間がかかるので難しく感じるだけではないでしょうか。
ヤマゴケの栽培方法、詳しくは次回に!
By 苔神