突然の出来事でした。
6月10日、島根から苔を学ぶために訪問中の二村会員を案内して、スギゴケの水田栽培の試験圃場を訪ねて見ると、スギゴケ圃場が消滅していました。
一瞬、何が起こったのかと、呆然としてしまいましたが、誰かが、トラクターを水田に入れて耕耘したことは、一目瞭然。でも、一体誰が?
誰でもありません。地主のH氏の仕業に違いありません。雑草が生え始めると、勝手に薬剤を播く人です。苔神が、水田でスギゴケ栽培の試験を続けていることは知っていますが、それがどういう意味を持っているかなど、頓着しないのです。
後で連絡してみると、雑草がみっともないからトラクターを入れた、という。泣くに泣けない気持ちです。どんなに試験栽培の話をしても、通じません。本来なら、借地契約をしているのだから、損害賠償を請求してもおかしくないくらいなのですが、そこまですることはできません。
仕方なく、泣いて、我慢です。
というわけで、スギゴケの水田栽培の試験は、これで終了となります。除草剤散布の長期的な効果や、この圃場から採取される種ゴケの単位当たり収量や、コロニーの株密度の調査など、全てがご和算になってしまいました。
でも、最初の失敗を除けば、4年間の水田での試験は、90パーセントくらいは成功しています。
また、スギゴケごと耕耘された水田に、来年、スギゴケが生えて来るのかどうか、それも一つの試験だと、考える他ありません。
というわけで、9回にわたる「スギゴケの水田栽培」の試験記録レポートは、今回で終了します。
By 苔神