2018年2月10日、京都市の㈱小林造園さんのお招きで、庭園のスギゴケ講習会を開催しました。
京都には、苔庭がたくさんあり、その苔の美しさは海外からの観光客にも人気となっています。その庭園に使用される苔の大半がウマスギゴケなのですが、そのウマスギゴケが見るに堪えない状況にあります。京都だけではなく、日本全国のウマスギゴケが同じようになっています。
庭園のウマスギゴケが衰退する要因の多くは、株の倒伏による枯死なのですが、それを引き起こす原因となっているのは、移植用の苗の不良、移植方法の誤り、移植後の管理の誤りにあります。特徴的なのは、ウマスギゴケを移植して2~4年後に、必ずと言ってよいほど、そうした倒伏枯死現象が発生しています。
庭園のウマスギゴケの現状
庭園のウマスギゴケの衰退を防止するには、ウマスギゴケの生態を知る必要があります。自然界で自生するウマスギゴケとは異なり、庭園で育成するウマスギゴケは、環境の違いによる様々な生育障害を引き起こします。そのためにウマスギゴケの生態に即した育成処置を行わなければなりません。
㈱小林造園では社員教育の一環として、今回、初めて庭園のスギゴケを学ぶことになり、苔神が講習を実施することになりました。
講習風景
講習は午前8時半から午後3時半まで、座学を中心に、①庭園のスギゴケの現状、②スギゴケの生態学、③スギゴケ苗の選別基準、④スギゴケの移植法と管理法、を講習し、実際に人工栽培された良質なウマスギゴケの苗を手に取ってもらい、現状の市販されている苗との違いを見てもらいました。最後に質疑応答を行いましたが、これまでのスギゴケの考え方と大きな違いが理解できたと、とても好評でした。 By 苔神