苔の専門サイト 日本苔技術協会 > 苔の栽培方法 > ギンゴケの栽培

苔の栽培方法

001 ギンゴケ栽培

 ギンゴケです。Bryum argenteum Hedw.
 ハリガネゴケ科のギンゴケは都会にも生息する見慣れたコケですが、意外に生態は知られていません。コンクリートの駐車場やブロック塀の下などに生えていますが、野や山にはほとんど見られません。コンクリートの上に見るだけで、土の上で生息するのを、見たことがありません。
 手に取ってよく見ると、きれいなコケです。
 このギンゴケを栽培して見ました。
 
01%20bryum_1.jpg
 
 2012年11月13日に、苔の種を播きました。小さな植木鉢です。室内の明るい窓辺に置き、土の表面が乾き始めたら霧吹きで水をやりました。
 
01%20bryum_2.jpg
 
 2013年2月に初発芽を見ました。それ以前に土の表面に緑色の原糸体の膜が広がりました。
 2013年3月11日、播種から4ヶ月、小さな丸みを帯びた芽がたくさん発生して来ました。あまり小さいので写真では分かりにくいのですが、無数の発芽が成長して来ています。
 今後も、継続してギンゴケの成長の様子をお伝えします。
  by 苔神

002 ギンゴケ栽培 カビ

 ギンゴケBryum argenteum Hedw. にカビが発生しました。
新潟も梅雨に入り、雨が降って、栽培しているコケは旺盛に成長をするようになりました。室内で栽培しているギンゴケですが、数日前にたっぷりと水をやったら、ご覧のようにカビが発生して来ました。6月18日頃です。
 ギンゴケは、ゆっくりとですが、少しずつ成長しています。この他に実験的に促成栽培しているギンゴケがあります。こちらは茎長およそ1センチほどに成長していますが、そこにもカビが発生しています。
 
02%20bryum_1.jpg
 
 画像上:植木鉢栽培 播種:2012年11月13日
 画像下:促成栽培実験 播種2013年3月12日

02%20bryum_2.jpg
 
 苔神には、カビが発生した、どうすればいい?殺菌剤を播いた方がいいのか?という質問がたくさん寄せられます。
 コケを栽培していると、カビが発生しているのをよく観察します。また、自生地のコケにもカビが発生しているのを観察します。苔神は、カビが発生しても放って置きます。そのうちに自然にカビは見えなくなります。消滅したわけではないのでしょうが、確認したわけではないので、今回、ギンゴケに発生したカビが、この後どうなって行くのか、継続して観察し、レポートしようと思います。
  by 苔神

003 ギンゴケ栽培 枯死・復活

 ギンゴケ(Bryum argenteum Hedw.ブリューム アルゲンテウム)の栽培試験です。2012年11月13日に播種しました。
 試験開始から1年2ヶ月が経過しましたが、その後のレポートに手抜きをしてしまいました。前回のレポートから、半年も経っていますが、継続してレポートします。
 実は、前回№002で、カビが生えたことを報告しましたが、その後、水やりをストップして2か月ほど放置しておいたところ、カビは消滅しましたが、ギンゴケも全枯死してしまいました。
「ああ、もうだめか!」
 そう思って、全く放置してすっかり忘れていたのですが、最近になってふと見たら、復活しているのを発見し、少しずつ水やりを再開しました。(全く、うかつなことです。)
2014年1月11日の観察です。
 
03%20bryum_1.jpg
 
 枯れた茎葉体から、分岐芽が発生しています。ギンゴケに限らず、コケは栄養体繁殖で枯れた茎葉体から新しい芽が発生して増殖するのはよく知られています。下の写真はそれがよく分かります。2013年3月11日に播種したギンゴケを促成栽培して、3か月後、6月1日に観察したものです。1本の茎葉体からたくさんの芽が出ています。
 
03%20bryum_2.jpg
 
 2014年1月11日に観察した促成栽培の枯死した茎葉体からも、芽が伸びているのが観察されました。
 
03%20bryum_3.jpg
 
 ギンゴケは、どこにでも見られるコケです。道路わきの縁石まわり、駐車場の隅、ブロック塀の下など、かなり過酷な環境下と思われるような場所に(好んで?)繁殖しています。どちらかというと、乾燥気味な環境下で生息すると考えられます。
 苔神の促成栽培試験では水分をたっぷりと供給して栽培したので、極端なほど徒長してしまいました。また、今回、水補給を絶って極端な乾燥下で放置して、半年間、全枯死状態になってしまいましたが、それがいつの間にか復活しています。
 ギンゴケの生態、まだまだ、分かりません。
  by 苔神

004 ギンゴケのケース栽培

 2014年3月31日から、ギンゴケ(Bryum argenteum Hedw.ブリューム アルゲンテウム)のケース栽培試験を開始しました。
 これまで手探りだったギンゴケの栽培を、本格的にやってみようと、栽培ケースに播種し、圃場に放置し、試験開始です。試験栽培は10ケースで、圃場の一画に不要になったテント生地を防草シート代わりに敷き、ケースに蓋掛けをして、配置しました。写真下の黒いケースです。10ケースだけなので、テント生地が風で飛ばされないように重石代わりに離して配置してあります。
 
04%20bryum_1.jpg
 
 下の写真は、左が5月23日、右が6月3日です。観察すると、もう成長し始めていました。少し、雑草が入り込んでいますが、1ミリほどの芽が密に出ています。5月23日は雨の後で濡れています。6月3日はしばらく雨が降らなかった時で乾燥しています。
 
04%20bryum_2.jpg
 
 この状態でどんなふうに育って行くのか、観察を続けてみます。
  by 苔神

004_ギンゴケの栽培 失敗!

 3月1日に、「ギンゴケの栽培は、その後、どうなったのでしょうか?」という問い合わせメールを頂きました。

 2014年3月31日から、ギンゴケ(Bryum argenteum Hedw.ブリューム アルゲンテウム)のケース栽培試験を開始し、レポートを書いてきましたが、2014年6月に「004ギンゴケのケース栽培」レポートを書いたまま、その後、ずっと報告していませんでした。申し訳ありません。
 
 実は、その後、観察を続けていたのですが、昨年2015年3月に強風が吹いて、圃場に並べていた栽培ケースが飛ばされてしまったのです。もちろん、試験中のギンゴケはケースごとひっくり返され、培土も苔もすべて散乱してしまいました。それで、その後のレポートは手付かずになってしまったのです。
 
 そこで、途中までの経過を報告して、お詫びしたいと思います。
 
05%20bryum_1.jpg
 
 先ずは上の画像、昨年3月の強風の被害です。最大瞬間風速で25m/secくらいだったようです。防草シートごとめくられて、100ケースほどが被害にあいました。
 
05%20bryum_2.jpg
 
 ギンゴケ栽培は、上の画像が、2014年6月29日、下の画像が、2014年9月23日です。
 
05%20bryum_3.jpg
 
 試験は順調に進み、ギンゴケはどんどん成長を続けていました。9月に入って、雨が少なく乾燥状態が続き、見た目には枯れ果てたように見えますが、苔そのものは健全に育っています。その後、10月には緑色が回復し、冬期間に入ったまま、翌年の3月に被害にあってしまいました。
 再度、試験しようと考えたのですが、他の試験が忙しくて、そのままになってしまいました。

 ということで、ギンゴケ栽培試験は途中までで、終了となりました。いつもこのレポートを読んでいただいている皆様に、お詫び申し上げます。
  by 苔神