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苔の研究レポート

005 倒れています!

倒れています!

仙台松島の瑞巌寺でウマスギゴケを観察しました。倒れていました。

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典型的なウマスギゴケ (Polytrichum commune )です。
2010年5月29日 瑞巌寺の境内です。立派なコロニーですが、一部、倒伏現象が見られました。ウマスギゴケの群落の丘に見えるのが、かの有名な臥龍梅です。
スギゴケのコロニーが倒れてしまうのは、コロニーの衰弱が進行しているのが要因だと考えます。コロニーの衰弱とは、新しい株の発生が減少し、コロニーの株密度が減少し、旧株の茎高が高くなる、という連関した要因によって倒伏現象へ至るのですが、上の写真の渦巻き型倒伏をよく見ると、コロニーの株密度は相当高いように思われます。
数えたわけではありませんが、一目、100平方センチ当たり500本以上はあると思います。(瑞巌寺の庭ですから、さすがに採取調査は遠慮しました。)茎高は全長20センチほどです。新株もかなりの割合でみられます。また、新潟でよく見られるような折れ曲がりがあまりありません。ほとんど真直ぐに伸びています。雪が積もらないからでしょうか。
それなのに何故、倒れてしまったのでしょうか。
新潟でも、稀に見ることができる現象です。

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2007年6月14日、江南区の個人の庭園で観察しました。渦巻き型倒伏が見られます。茎高は15センチほどです。
左の写真は普通に倒れていて渦を巻いていません。茎高は10センチほどです。
コロニーはどちらかといえば渦巻き型のほうが株密度が高いと思います。(ほとんど枯れているので株密度を調査することができませんでした。)
茎高が高いということがコロニーの古さを意味するかどうかは断定できませんが、スギゴケは一本の茎葉体がそのまま伸び続け、年が経つほど長くなります。しかも、スギゴケの茎葉体は一年間で伸びた部分だけが緑葉を保ち、一年を過ぎた茎葉体は次第に枯れて行き、やがて茎は細い棒のようになってしまいます。ですから、古いスギゴケは根元部分が弱くなり、倒れやすくなります。でも、株数の多い旺盛なコロニーは、それぞれの株が個別に倒れずに、全体で寄りかかるようにして倒れるのではないでしょうか。それが渦を巻く現象となっていると、苔神は考えています。
 by 苔神