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スギゴケ研究 -スギゴケの生態的な特徴-

<スギゴケの生態的な特徴>
・成長について
・スギゴケは1年間に3~7センチほど成長する。
・スギゴケは毎年、先端部が成長して行き、前年に成長した部分は次第に枯れて行く。
・スギゴケは順調に成長すれば、3~5年で全長10~20センチの茎高になる。
・スギゴケは毎年、地面(原糸体や仮根部)から新しい株が発生し、親株の隙間を埋めて行く。
・スギゴケ(に限らない)は、毎年発生する新株によって、株数を増やし、密集体型(コロニー)を形成して行く。

 つまり、スギゴケは成長するに従って茎高が高くなり、自然に倒れ易くなることを意味します。スギゴケの茎は細くて柔らかいので、10センチ以上になると、単独では立っていられなくなります。この生態的な特徴から、移植したスギゴケが3~5年後に、ばたばたと倒れてしまうのは自然なことと考えられます。

 しかし、全てのスギゴケが3~5年で倒れるというわけではありません。10年以上経過した茎高20センチ以上のスギゴケでも、こんもりとしたコロニーを保っていることがあります。倒れるスギゴケと倒れないスギゴケの差は何なのでしょうか。

 茎高10センチ以上になっても倒れないスギゴケのコロニーには、はっきりとした特徴があります。それは、密集した株同士が支え合うようになっていることです。
株と株の隙間がないほどくっつき合ってお互いを支え合い、倒れるのを防いでいます。

そういうスギゴケの株の密集度を調査したことがあります。
10×10センチの広さの中に、最大1000本の株が密集したコロニーがありました。

このコロニーのスギゴケの茎高は最大42センチ、平均35センチありましたが、全体的に立錐しています。根元付近はほとんど土壌化していますが、一本一本ちゃんと根元から先端まで繋がっています。

 自生しているスギゴケは平均的には、茎高10センチで、200~500本くらいのコロニーです。
これに比べて、庭園で倒れるスギゴケのコロニーは100~200本くらいと、その密度は低い値でした。
このことから、スギゴケが成長した後、ばたばたと倒れるのは、コロニーの株の密集度が低く、隙間が広いせいではないかと考えられます。

 何故、コロニーの密集度が低くなってしまうのか、はっきりとは分かりませんが、一つには、毎年コロニーの中に発生するはずの新株が、何らかの原因で発生しなかったことが考えられます。
幾つかの観察では、春から夏にかけてスギゴケのコロニーの中を調べ、新株が発生していない群落は、2~3年後に倒伏してしまうことが分っています。