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苔の研究レポート

009 発芽メカニズム 明暗

 播きゴケ法でスギゴケを栽培するとき、「苔の種」が灌水で流されるのを防ぐ、風で動くのを防ぐ、また乾燥を防ぐという理由で、目土をしたり、キッチンペーパーを被せる、という方法を工夫しているようです。苔神では培土と苔の種を混ぜ合わせることを推奨しています。でも、苔の種が培土の中から発芽するということは、光りがなくてもスギゴケの種が発芽することを意味しますが、根拠はあるのでしょうか?
 実験してみました。
 
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<実験期間>
2011年1月22日~2月23日
  
<実験の概要>
1、採取したスギゴケの茎葉体(仮根部は切除)を被験材料としました。
2、被験材料のスギゴケは2011年1月7日、新潟市亀田地内で採取し、15日間、乾燥保存したものを使用しました。
3、材料は水洗いしました。(仮根部や原糸体、胞子等の残滓を除去する目的)
4、茎葉体をそのまま、5ミリ程度に刻んだものを被験材料としました。
5、ガラス容器内の寒天培養基に被験体を配置し蓋をしました。
6、直射光のあたらない明るい環境、ダンボール箱内の暗い環境、暖房のある暖かい場所、廊下の寒い場所でそれぞれ栽培しました。
 
<結果の記述>
1、2月23日、明るくて暖かい場所の験体、暗くて暖かい場所の験体で発芽を確認。
2、明るい場所では緑色の葉が見られるが、暗い場所では白い茎が伸びているのみ。
 
<結果から得られる推論>
1、スギゴケの播きゴケでは、光りがなくても発芽する。
2、スギゴケは光りがない環境下では、発芽しても葉緑素の発達や葉の分化はしない。
 
 どうという事もない実験でしたが、苔の種と培土を混ぜて播種する方法の根拠にはなりました。また、暗い場所で発芽した新株はもやしのようでした。暗いコロニー内ではそのままひょろ長く伸び続け、コロニーの上層に達する頃に、ようやく葉緑素や葉が分化し発達するのです。
 苔神の観察では、親株の茎高が長いコロニーでは、新株の茎高も長いのです。不思議な現象です。
  By 苔神