土を使用しない苔玉づくりは、苔の生態的な特徴を踏まえた苔神のオリジナルの技術です。(特許申請中)
苔神の実験では、全く土も使わず、紙も布も使わず、苔の茎葉体だけで苔が育つことが確認されています。上の写真はその一例です。左はスギゴケ、右はハイゴケです。
苔は茎葉体が密集することで、そのコロニーの内部空間に水蒸気を貯留し、生育に必要な水分の供給源の機能を果たします。もちろん、この人工的なコロニーは乾燥が早く、水の供給に注意が必要ですが、苔はちゃんと育ちます。
土は、植栽を育てる上で重要な役割を果たしますが、苔は土がなくても育ちます。苔にとっては、土はただ動かないようにつかまるだけの土台でしかありません。
上の写真は苔の玉ですが、土は使用していません。左はハイゴケ、右はホソバオキナゴケで、苔の玉の中は、紙と布です。
紙も布も水を吸収して、水蒸気を発します。この水蒸気の発する所に苔が固定されていれば、苔は育ちます。
単純な原理なのですが、これが蘚苔類の生態の最大の特徴でもあるのです。
ご存知のように、蘚苔類と他の植物を分ける特徴の一つに、維管束を持たない、あるいは維管束の機能を持たない、というのがあります。維管束というのは、根と葉とを連結して水分や養分を運ぶ機能を果たす器官です。このため、根を切除された植物は、大抵、枯死してしまいます。
しかし、苔は根を切除しても生き続けます。茎や葉が直接、水蒸気や水分を吸収して成長を続けるからです。成長を続けながら、再び、仮根を発生し、隣り合った株同士で絡み合い、風や雨に動かされないようにコロニーを発達させます。
苔を育てる上では、とても重要な性質なのです。
By 苔神