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苔の研究レポート

004 コケの質問と応答

 新年、明けましておめでとうございます。今年も、コケに関する研究報告やレポートなどをアップして参りますので、よろしくお願い申し上げます。
 昨年9月末に、新潟県三条市にお住いの加藤敏敦さんからメールを頂きました。

■問合せ: 13/9/24
小生、拙宅一部に苔庭を設えております。
苔の管理に日々腐心しております。
つきましては、ネット上で貴会の存在を知りました。
ホームページ上では概要を知りましたが、もう少し具体的な活動内容がございましたらお知らせいただければ幸いです。
その後、是非入会し、ご指導いただきたく考えております。
宜しくお願い致します。※拙宅の庭一部画像添付します。(2013_5_25_撮影)
 三条市 加藤敏敦
 
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■応答:13/9/25
加藤敏敦 様
メールありがとうございます。
立派な苔庭ですね。
画像からは、コケの種類が分かりませんが、かなりコケのコロニーが発達しているように見えます。

小生は、主に、コケの栽培方法、管理方法について研究し、技術を確立することを目標にしていますが、小生の下に、造園屋さん、コケの栽培農家を目指す人、こけ玉やフラワーアレンジメント教室の講師の方などが集まり、日本苔技術協会を構成しています。
正直に言えば、ここ数年、「苔の種」の開発によってようやく、コケの苗を人工的に量産することが、可能になったというところで、庭にコケを移植し、完全に維持管理できる人は、小生も含めて、日本にはまだ誰もいないと思います。

日本苔技術協会の活動とは、コケの栽培から始めています。
造園屋さんでも、こけ玉の先生でも、コケの苗を育てることが出来て、初めて、コケについて基礎的な知識を学ぶ準備が整うのだと、小生は考えています。
従って、入会した会員の皆さんには、まず、コケの苗を育てて貰います。
コケの苗が育つには、おおよそ2年かかります。
その間、会員の皆さんには、自然界のコケを観察して貰います。
およそ、10種類くらいのコケについて、観察し、見分けられるように学んでもらいます。

こうした会員の自主活動に対して、小生は、可能な限りアドバイスを致します。
もちろん、会員の皆さんはそれぞれ、事業の目標がありますから、コケ一般を勉強する必要はなく、専門的に、数種類のコケの栽培や移植、管理などに力を入れることになります。

加藤さんがコケを学びたいのであれば、自家の苔庭の管理方法に特化して学ぶのが早いと考えます。
三条市であれば、近いので、現場でのアドバイスが可能ですね。
というより、一度、加藤さんの苔庭を見せて頂きたいなあ、と思う次第です。
如何ですか?

■その後
 この後、2回ほどメールを交換して、10月12日に加藤さん宅を訪問して、庭を見せて頂きました。
 庭は東南に面し、塀に囲まれたおよそ230㎡、適度に配された樹木と景石、砂利敷きの踏み石で回遊する明るい苔庭です。
 
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 苔の種類は、ハイゴケ、カモジゴケ、スナゴケを主にして、フデゴケ、スギゴケなど10種類ほどが見られました。本来は2007年にスギゴケを全面に移植した庭だったのですが、2010年の春頃にはほぼスギゴケが全滅状態となって、現在のコケを移植したものです。それから3年、今ではきれいに定着して、見事なコロニーを形成しています。
 コケを見た後、お茶を頂きながら加藤さんから苔庭の管理について、苔神から幾つか質問させて頂きました。
「苔の管理で心がけていることは何ですか?」
「枯葉が落ちるので枯葉拾いと、水やりです。」
「夏場でも水をやりますか?」
「毎日、やります。夜、涼しくなってから水をやります。」
「数種類のコケが混生していますが、ハイゴケが旺盛になってきますよね。」
「カモジゴケの中のハイゴケをこまめにつまんでいます。」
「雑草が全く見られませんが、摘んでいますか?」
「毎日の日課のようになっています。」
 加藤さんは苔庭と聞けば、どこへでも出かけて行き、コケを見せて貰い、コケの話を聞いて来るそうです。今の所、苔神から加藤さんへアドバイスすることは何もありませんでした。

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 昨年末に、加藤さんから苔庭の写真集が送られてきました。「我家の苔庭」と題された16頁のフルカラー印刷です。
 加藤さんは、庭を見たい人はどうぞ見に来て下さい、と仰られています。興味のある方はe-mailで問い合わせて下さい。(tkato@kakuri.co.jp)
 コケを庭で育てたいとお考えの方は、加藤さんの話を聞くのが良い勉強になると思います。
  by 苔神