ポーランドからメールが届きました。ワルシャワ在住の八木皓平さんです。
■問合せ: 14/5/27
苔神工房 様
初めまして。私はポーランド在住の日本人で日本にいたときに、苔を育てていたのですが、こちらにきて4年たち、最近、苔を使って何かできないかと考え始めました。
試しに苔の種を日本から持ってきて育ててみたいと思っています。
HPでアメリカやフランスへの輸出の例を拝見いたしました。
そこで、ハイゴケ5L、スナゴケ5Lほど購入したいと思っているのですが、見積もりはどれぐらいになりそうか、教えていただけますか?
八木 皓平
■応答:14/5/28
八木 皓平 様
ポーランドからメールを頂きました。感激しています。
苔の種はハイゴケ、スナゴケ共に、1リットル¥515円ですから、合計で¥5,150円です。
送料が別に掛かりますが、調べてみないと分かりません。
EMS(国際スピード郵便)の料金を調べて、メールしますので、少しお待ち下さい。
ポーランドでコケを育てるということですが、気になることがあります。
苔の種を播種して、育てるために、栽培ケースを使用することをお勧めしていますが、栽培容器を手に入れることができるのでしょうか?
あるいは、ポーランドの気候はどのようなものなのでしょう?
苔の栽培は気候環境と密接な関係があります。
気候環境を無視しては、うまく育てることができないのではないかと心配します。
せっかくポーランドでコケを栽培するというなら、是非とも、成功して欲しいと思います。
ドイツに在住する日本人からも、コケをドイツで育てたいとメールを頂きました。
現在、ドイツの気候や環境について教えて貰っているところです。
そうしたデータを分析して、できるだけ成功の確率の高い栽培方法を打ち合わせています。
また、アメリカ、フランスへの輸出は成功しましたが、ドイツやポーランドは初めてです。
検疫でのリスクがあることを、ご承知置き頂きたいと思います。
取り敢えず、メールを頂いたこと、有難うございます。
また、メール致します。
苔神工房 北川義一
■問合せ: 14/5/29
苔神工房 様
ご連絡ありがとうございます。
気候に関しまして、北海道に似た気候だと思います。
まず、4月は月末までは最高15℃、最低2-3℃の日が多く、通常の農作物の播種も15日をすぎてからハウス内でヒーターを使って行われます。
5月-8月は急激に気温が上がりときには30℃になることもあります。
先日も最高12℃の日が続いていたのですが次の週になって30℃近くまで一気にあがります。
特にここワルシャワは、急激な温度変化の多い土地です。
夏の間は、連日、天気がよく、夕方に夕立になる日が多いように思います。
夏の後半は涼しくなってきますが大体20℃の日が多く、晴れの日が続きます。
9月-10月は、20℃を行ったり来たりとしますが、曇りの日が徐々に多くなります。
11月-12月、例年は、この頃から冷えて雪が降り始めるのですが、昨年は10℃あたりを行ったり来たりしていました。
基本この時期は低い雲に覆われています。
1月-3月 ポーランドで一番寒い時期です。寒いときでは、マイナス30℃まで下がり、最も乾燥して雪に閉ざされた時期になります。
湿度は日本に比べて乾いていた気候ですが、雨も適度に降り、1年の半分とまではいきませんが、特に秋から冬にかけては、曇りの日が多いです。
森の中には非常に多くのコケを見ることができます。
<八木さんが撮影した近隣の森の様子です。>
<ポーランドで八木さんが育てているコケ。何種類かあるようです。>
<スギゴケ科POLYTRICHACEAEと、シッポゴケ科DICRANACEAEのようです。>
写真のようにこういったコケの絨毯が森一面中に広がっています。
そして、こちらの森はところどころ湿地になっている場所が多いです。
国土の北半分には多くの湿地帯があり、その周りに大きな森林群があります。
温度が低いため、日本よりは成長量は劣ると思いますが、林床はこのように湿地帯の多い地域なので、苔には向いていると思います。
こちらが栽培を考えている場所です。ここに遮光シートをかけて栽培しようと思っています。
栽培ケースですが、育苗ケースならたくさんあります。
下に穴があいて、水はけのいいものです。
下に穴があいてないものもあります。
こちらは、敷地内で見つけてコケをケースに入れてみて、蒔きゴケに使えないかと考えています。
発泡スチロールは、浮き船式のミズゴケ栽培です。
今年から初めてデータをとっているところです。
日本の熊本では通常1㎡あたり、4キロ蒔いて、16キロの収穫があります。
こちらの温度でどこまで育つものなのか非常に興味があり、同じ方法で栽培をしております。
照度は70%遮光です。
土も問題があります。
日本で使用していた鹿沼や赤玉などは、こちらにはなく、
唯一ピートモスなら買うことできます。ミズゴケもインターネットでしか購入できなく、ケト土もなく。
苔玉を作るのに、苔神様が行っていた布を使って作ろうと思っています。
八木皓平
■八木皓平さんと苔神のメールのやり取りは、このようにして始まりました。メールの内容は、主にポーランドへの苔の種の送付と、コケ栽培の技術ですが、苔神の求めに応じて、ポーランドのコケの写真を送ってもらいました。
ポーランドとベラルーシの国境に広がるビャウォヴィエジャの森の様子です。世界遺産に登録されたヨーロッパ最後の原生林として知られているようです。この写真は八木さんの友人が撮影したもので、八木さんはまだここを訪ねたことがないそうです。
それにしても、こんな原生林とそこに生息するコケ、日本では滅多に見られません。苔神の経験では、長野県の白駒の池周辺に広がる「苔の森」くらいでしょうか。感動です!
by 苔神