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苔の研究レポート

022 ウマスギゴケと水

 ウマスギゴケ(Polytrichum commune)は日当たりが良く、水分が豊富に供給される場所に群生します。庭園でよく見るスギゴケの多くがウマスギゴケですが、毎年3~5㎝ほど成長し、その分、下部は枯れてやたら背が高くなって行きます。夏場の暑い盛りに、乾燥すると、葉を閉じ、茶色になってしまいます。こんな時、水をやると元気になるのですが、夏場の暑い日中に、コケに水をやってはいけない、という人がいます。高温状態で水をやると、蒸れてコケが死んでしまうというのです。

 苔神では、栽培しているコケには原則的に人工灌水はしません。できるだけ自然に近い環境で育てるようにしていますが、ウマスギゴケを育てる時、水分を十分に与えると、良く育ちます。そこで、夏場の暑い日中に水をやると、本当にコケは蒸れて死んでしまうのか、確認して見ました。
 
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  画像上:8月9日 午前8時半 気温32℃ 水温26℃
 
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  写真上:8月9日 午後2時 気温39℃ 水温38℃

 プラ鉢で栽培中のウマスギゴケを、プランターごとトレーに溜めた水に浸けました。2015年8月9日、午前8時半、気温は32℃、トレーに溜めた水は26℃です。午後2時、気温は39℃を越えています。トレーに溜めた水は38℃まで上昇しています。
 この日は38℃の水温でしたが、過去に、水温が40℃を越えたことがありましたが、栽培中のウマスギゴケに影響は見られませんでした。
 他のコケは分かりませんが、ウマスギゴケは夏場の暑い日中に水をやっても問題はありません。むしろ、どんどん水をやった方がウマスギゴケには良いようです。
  By 苔神